幼馴染みが担任になったら【番外編】





この前はテンパってて気づかなかったけど、路地には結構なお店が並んでいて驚いた。






だいたいがスナックみたいなんだけど、中には普通の居酒屋もある。






だから人通りも結構あって、あたしは耀太からはぐれないように繋いだ手にぎゅっと力を込めた。






「どした?」






その途端、あたしの小さな変化でも見逃さないって様子の耀太が、歩く速度を緩めて覗き込んできた。






「ううん、なんにもないよ」



「……あのさ、さっきのは冗談だからな。
今すぐにでも引き返そうと思えば引き返せるし……」





………耀太ってばまだそんなこと言って…






心配そうな表情を覗かせる耀太の優しさにキュンとして、思わず涙まで出そうになる。







でも耀太にはもっと自信を持って欲しくて、あたしはすぐさま笑顔を浮かべた。






「大丈夫だって!あたし最初っからそのつもりで来てるんだよ?その証拠に荷物………あああっ!」






忘れてるじゃんっ!!





あたし、ロッカーから取ってきてないじゃんっ!!






「……楓?」






突然叫んで立ち止まったあたしを、戸惑う耀太が呼ぶ。






「ごめんっ!忘れ物した!今から取ってくるからここでちょっと待ってて」



「えっ!?おいっ……」






手を振り払って駆け出すあたしに慌てた様子の声が後ろから聞こえるけど、





「2分で帰るから!」





もう一度叫んで、あたしは路地を抜け出した。







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