幼馴染みが担任になったら【番外編】
幸いコインロッカーまで近くて、ものの数十秒で着いたんだけども……
ないっ!!
鍵がないっ!!
さっきからバッグをゴソゴソ漁ってるんだけど、肝心の鍵が見当たらない。
「……もうっ…」
なんであたし達ってイイ雰囲気になると必ずどんでん返しが待ってるんだろ……
自分のあまりの不甲斐なさに、だんだん泣けてくる。
でもそんな自己嫌悪に陥ってる場合じゃないわけで。
泣いてる場合じゃないでしょ!楓!
自分に喝を入れてじわりと浮かぶ涙を強引に拭いつつ、もう一度鍵を探すことに集中した。
−−−チャリン
「……あったぁぁ!」
すると今度は意外にすんなり見つかった鍵。
逸る気持ちを抑えながらも、その鍵でロッカーを開け、中にあるトートバッグを取り出す。
そしてそれを肩に掛け、今来た道へと一目散に駆け出した。
耀太!待っててねっ!
「……ハア…ハア…」
曲がり角に着いた途端、相当息が上がってることに気づいて足を止めた。
「フゥー… フゥー…」
深呼吸を何度か繰り返して、
よしっ!今度こそっ!
気合い十分なあたしは再び路地へと足を踏み入れた。
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