幼馴染みが担任になったら【番外編】
そして残すところは、あたしと花音ちゃんだけになったんだけど……
順番的には、瑞穂の隣に座る花音ちゃんが先なんだよね。
でも、どうやら志保も瑞穂も、そして言い出しっぺの美奈でさえ、妖精のような彼女に、そんな不粋なことを聞いていいものか躊躇しているようで。
もちろんあたしもなんだけども。
あたしは、『未経験』としか言えないしさ……
そんなことを言うと、きっと場がシラケるっつうか、『年上の彼氏が居るのに!?』なんてバカにされる恐れがあるっつうか……
こうなったら、予想通り見かけ通りで、先に花音ちゃんがひと言、
『まだなの……』
って言ってくれた方が、あたしも言いやすいかなぁ、なんてさ。
ずるいとは思いつつ、なるべく軽い感じで、あたしはポテチの袋を開けながら、隣の花音ちゃんへと尋ねた。
「花音ちゃんは?」
もちろん、『まだ』だよね?
「えっ…!?」
途端にポッと頬を染めた花音ちゃんを横目で確認しながら、内心ほっとなる。
うんうん、この歳で未経験なんて当たり…
「じゅ…じゅう…」
前だ……し………ん?
「よん……」
………はいっ???
「か、花音、ちゃん…?」
瞬きもせず見つめるあたし達に、戸惑うように目を伏せながらも、花音ちゃんはもう一度囁くように言った。
「あたしは……14なの……」
えっ!?えっ!?
「「ええーーーっ!?!?!」」
言った直後、真っ赤な顔で完全に俯いてしまった花音ちゃんをよそに、4人の悲鳴にも似た声が響き渡る中、あたしの手にあったポテチが軽やかに宙を舞った……-−−−
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