幼馴染みが担任になったら【番外編】
「……ち…」
“違いますっ……
あたし、妹じゃありませんっ……”
そう続けたいのに、どうしても上手く声に出せない。
なんで……どうして……
もどかしさで胸が潰れそうになった時、
「妹じゃねぇし」
すかさず苦笑い気味の耀太が否定してくれたんだけど。
「あたしのこと覚えてる?
いつだったか耀太と居る時、花火大会で会ったよね?
確かあの時、楓ちゃんは中学生ぐらいだったかしら?」
ズキン−−−
………ダメ…
また思い出しちゃう……
なおもあたしを追い詰める言葉に、だんだん足がガクガクしてきて、さっき引っ込んだはずの涙がすぐそばまで込み上げてくる。
そんなあたしの異変に気づいているのかいないのか、
「あら?ということは……楓ちゃんってまだ高校生?」
麻美さんは驚いた顔をして耀太へとその視線を変えた。
「……教師のくせに」
「ばっ、違ぇよ!楓はこの前短大生になったんだよ」
「へぇ、どっちにしろ未成年には変わりないじゃないの。
いいの?こんな時間まで連れ回して」
「……それは…」
「クスクス…、一歩間違えれば未成年者略取の罪に問われるわよ?」
そう言った麻美さんの声はどこか楽しそうで、
「あたしは……耀太の彼女です……!」
気づいたら、あたしは涙声で叫んでいた。
「だから……だから……ヒック…ヒック…」
ヤだ……
泣きたくなんてないのに……
そう思っても、次から次に溢れてくる涙で、自分の視界がぐにゃりと歪んだ。
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