幼馴染みが担任になったら【番外編】
「結局そんな嘘、2ヶ月も経たないうちにバレてこっぴどく怒られちゃったけど、不思議と別れ話にはならなかったな……
だからあたし、その時決めたのよ。彼に相応しい女になろうって」
………なんだかんだ言って、あたしってもしかして惚気られてるのかな……?
若干苦笑しながら見ていると、
「……でもそれが間違いだったのよね…」
それまで幸せそうな顔をしていた麻美さんが、急にしんみりして、口をつぐんでしまった。
「……麻美さん?」
「9歳差ってね、思った以上に大きくて。
メイクだって服装だって、それこそ惜しみなく頑張ったし、彼があたしとの約束を蹴って学生とゼミコンに行ったり、合宿に行っても、絶対文句の一つも言わなかった。
ウザイ女にはなるまいって心に誓ってたから……」
「あ、なんかそれ、わかります。ただでさえ年下なんだから、これ以上子供っぽい部分を見せたくないっていうか……」
「そうそう、これだから年下は…なんて思われたくないもんね。
だけど、あたしが2回生になって、彼が教員に昇進してから、どんどんそれが自分の中で重荷になっていったの。
あたしがこんなに頑張ってるのに、どうして気づいてくれないの!って。
自分が勝手にやってたくせにね」
そっか……
あたしも無理し続けたら、そんな気持ちになるかもしれない。
「それで結局一度、自分から別れを切り出したのよ。もちろん、そんな醜い部分は隠して、あくまでもスマートにね」
「………彼はなんて言ったんですか?」
「わかった、それだけ。あんまり呆気なさ過ぎて、あの時は涙も出なかったわ」
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