幼馴染みが担任になったら【番外編】
そう言うと笑顔になった麻美さんは、イタズラっぽく微笑んだ。
「ちょうどその時くらいよ、楓ちゃんに会ったのは。
せっかく買った浴衣がもったいなくて、強引に耀太を誘って花火見に行ったの、ごめんね」
「いえ、そんなこと……」
「こういうこと言うと怒られるかもしれないけど……
あたし、楓ちゃんには感謝してるの」
「……へっ??」
突然の感謝の言葉に、あたしはキョトンと麻美さんを見上げた。
「あの時の楓ちゃん、“耀太好き好きオーラ”がいっぱい出てて可愛かったんだもん。
あまりの可愛さに嫉妬して意地悪しちゃったくらい、ホントごめんね?」
「……なっ…!?」
“耀太好き好きオーラ”ってなんですか!?
そんなの出してた覚えないんですけどっ!!
しかも意地悪って!
まさか耀太を引きずっていったのも、そのため!?
あまりの驚きに声も出なくて。
まるで金魚のように口をぱくつかせているあたしを見て、麻美さんは楽しそうに声を上げて笑っている。
「くくくっ……笑っちゃってごめんね。
あたしが楓ちゃんに感謝してるのは、女って素直になるとさらに可愛いくなれるんだなって気付かせてくれたからよ。
おかげであの後、浴衣姿で彼をもう一度誘惑しに行く勇気が出たの」
「じゃあ、もしかして…… あれから耀太とは別れたんですか?」
「うん、コンビニから彼の家まで直行よ。耀太は家に直行したみたいだけど……」
「なんだ……そうだったんだ……」
それなのにあたしってば麻美さんの意地悪を真に受けて、笠井君と付き合うことにしちゃったんだ……
なんか……相当アホかも……
「どうかした?」
落ち込むあたしの顔を覗きこんできた麻美さんに、あたしは慌てて首を振って続きをうながした。
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