幼馴染みが担任になったら【番外編】





「ところでさ…」





底蓋に書かれた“MADE IN KAEDE”の文字に、しばらくツッコミを入れていた瑞穂だけど、急に思い出したように顔を上げた。





「“Xデー”どうすんの?」




ドキッ−−





“Xデー”なんて、なんとも抽象的な言葉なんだけども……





あたしの心臓を、再びドキドキサンバにさせるのには充分な言葉だったりするわけで。






「いや……あ……うん……」



「そうよ、そうよ。今度の土曜日だったっけ?」





煮え切らない態度のあたしに、片手でメールをしながら器用にパスタをくるくる巻きつけている志保が言った。





っていうか、4人が4人ともこっち見なくても……





あの大人しい花音ちゃんでさえ、ぱちぱち瞬きを繰り返しながら、あたしをじっと見ている。






「実習の時も、そのことで頭の中がいっぱいだったんでしょ? 覚悟は決まった?」



「え、あ、うん…… なんとなくは……」






言い淀むあたしを肘で突きながら、ニヤニヤしてる美奈。







みんなの共通の話題となっている“Xデー”





それは、5日後に迫った耀太の誕生日のことなわけで。





そして、あの日、花音ちゃんの衝撃発言の後に、あたしがみんなにあることを宣言した日でもある。





『あたしだって、今度の耀太の誕生日には全部捧げる気満々だしっ!!』






いくら雰囲気に飲まれたとはいえ、あんなことを言ってしまうなんて、あたしってばやっぱりアホだよなぁ……




いくら後悔しても、もう遅いんだけどさ。




とほほ……






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