幼馴染みが担任になったら【番外編】
人間、慣れって怖いね……
異様な雰囲気にあんなに挙動不審になってたのに、お風呂から上がってまったりしている今は、そう気にならなくなってんだから。
逆にバナナに愛着が湧いてきたような……
耀太が買ってきてくれたペットボトルのお茶を飲みつつ、バナナクッションを抱えてテレビを観ていると、
「なぁ、楓……」
隣で同じように買ってきたビールを飲んでる耀太が話し掛けてきた。
なんでも家に帰るつもりにしてたから、ストック用に6本もビールを買ったんだとか。
さっきも飲んでたくせに、ホント、飲んべえだよね。
「なに〜?」
「ここさ、白本に何て勧められたんだ?」
「……なんだったかなぁ…照れ屋にオススメだとかなんとか……
あ!ヘンに固くならなくて済む内装だって言ってた!」
「ふ〜ん、なるほどな……」
さすが白本、とか独り言を呟いて感心している耀太。
さっきは瑞穂の趣味を疑うって言ってたくせに。
「なんで『なるほど』なの?」
「じゃあ、聞くけど、ここがどういうことをする場所か覚えてる?」
ニヤリと振り向きながら、またもや人の能力検査みたいな質問をする耀太にムッとなる。
どんだけあたしをおバカ扱いすれば気が済むわけっ!!
「それぐらい覚えてるわよ!
ここは……っ…!?」
言いかけてピキッと固まったあたしに、耀太がさらにニヤリと笑う気配がした。
………そう、ここがラブホであることを、あたしはすっかり忘れていた。
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