幼馴染みが担任になったら【番外編】
それはやっぱり気のせいなんかじゃなく、隣に座る耀太の方からピリピリとした空気がどんどん漂ってくる。
まるで無言の圧力。
………なんでご機嫌ななめなのかなぁ……?
コツ−−−
………ん?
居心地の悪さに、あてもなくテーブルの上を彷徨っていた手が、なにかに触れた。
見れば、それはホテルのロゴ入りライターで。
カチッ…シュポッ
カチッ…シュポッ
意味もなく、着けては消し、着けては消し、を繰り返すあたし。
………む、虚しすぎる…
思わずうなだれてしまったあたしから、耀太がすっとライターを取り上げた。
「……バナナ伝説って、聞いたことあるか?」
やっと沈黙が破られたことにほっとしつつも、聞きなれない言葉にあたしは首をかしげて考える。
「ううー…ん
なんだか胡散臭い都市伝説みたいだね……」
「やっぱ、知らなかったのか。
ここを選んだ理由は、それもあるのかなって思ってたんだけど……」
ふう、とため息を吐いた耀太は、ソファーの背もたれに身を預けた。
……???
あたしは意味がわからずに、耀太が指で弄んでいるライターのロゴをじーっと見つめた。
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