幼馴染みが担任になったら【番外編】
「さっき思い出したんだけど。
いつだったか、生徒に聞かれたんだ、『この学校のバナナ伝説知ってる?』って」
「うん、それで……?」
「知らないって言ったら、教えてくれた」
ちょっとぶっきら棒に話す耀太の声を聞きもらすまいと、あたしはテレビの音量を下げる。
「で、なんだったの……?」
「どんなカップルでもバナナで一夜を共にすると、一生一緒に居られるんだってさ」
「バナナでって、ここのこと?」
「さあな、そこまでは聞いてないから知んねぇけど……。俺もそうかなって思って」
「へぇぇ、ウチの学校にそんな伝説あったっけ……?」
今度瑞穂に聞いてみようと思いながら、あたしはあることに気づいてしまった。
「ねぇねぇ、その伝説がここだとしたら、あたし達、一生一緒に居られるってことだよね?」
「………まあな」
「やだ〜〜、耀太ってば結構ロマンチストなんだから」
あたしがパシッと肩を叩くと、耀太はあからさまに顔をしかめてみせた。
「なんでそうなんの?」
「だって、ここがそうだといいなって思ったんでしょ?」
「違げぇし。そうかなって思っただけで、いいなとは思ってない」
「またまた〜〜」
あたしがなおもケタケタ笑ってからかうと、
「もう寝る!」
とうとうベッドにふて寝しに行ってしまった。
………ったく、ちょっとからかうとすぐにすねるんだから……
昔から変わらない耀太の性格にクスッと笑いを漏らしながら、あたしも後を追い掛けた。
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