そして秘密の〜番外編〜
「……私……幸せ過ぎて、怖い……」

ちょっとの沈黙の後、呟くように美雪が言った。



「美雪?」

少なくとも、『幸せ』である事が分かったのはいいんだけど……。

『幸せ過ぎて怖い』って?



「今、幸せな分、いつかイヤな事が起きるんじゃないかって、不安になる……強くなろう、って思ったのに……」

そこまで言って、一瞬、美雪は言葉を切った。



なんだよ、それ?

本当に心配性だなぁ。

まぁ、美雪らしいっちゃー美雪らしいけど。



そして、美雪は搾り出すように言った。



「涼があんまり私を甘やかすから……『もし涼が居なくなったらどうしよう』って、不安なの」



とうとう美雪の頬を涙が伝って落ちた。

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