そして秘密の〜番外編〜
「これ位の事で、ご褒美に負けてどうするんだよ。強くなるんだろ?」



俺がそう言うと、美雪の表情が変わった。

不安な感じは少し消えて、ちょっと苦笑いをしている。



「涼。ご褒美に『勝ち負け』って無いと思うよ? それに『強くなる』の意味合いも違うし……ケンカじゃないんだから」



その言葉を聞いて、思わず笑ってしまった。



「そんなツッコミが言えるなら、もう大丈夫だな……ほら、帰るぞ」

「うん」



美雪はそう返事をすると、慌ててシートベルトを締めた。

そんな美雪を見ながら、俺はさっき美雪が言った、『強くなろう、って思ったのに』と言う言葉を思い出した。



「1人で『強くなろう』なんて、思わなくていいんだぞ」

俺はそう言ってから、車を発進させた。

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