そして秘密の〜番外編〜
「ん? そうか? よし、じゃぁ、今度、他の生徒を指導する時に言ってみるか?」

俺はわざと茶化すように言った。



「ちょっと、私は実験体じゃないんだからね」

いつもより少し元気が無いけど、拗ねたように美雪が答えた。



「はははっ」

「『はははっ』じゃないよ、もうっ」



美雪の言葉に俺が笑うと、美雪は怒ったようにそう言った。

ちょうど一時停止で車を停めて美雪を見ると、俺とは反対の方を見ようとしているのが目に入った。



その瞬間。

美雪の目尻が、キラッと光った。

さっきの涙だ。

俺は右手でハンドルを持ったまま、左手の親指でその涙を拭った。

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