王国ファンタジア【戦場の民】
「王国に行く戦士って、実はお前なんじゃないか?」
「え?」
予想外の発言に驚くエーク。
「だってよ、俺らにだってお前が寝坊してないの判ってるんだぜ?あの族長がそれに気付いてない訳ないだろ!」
「だから本当に寝坊したんだって…」
「あーもう、あのガキなんかかばうなって!!エークだったら誰も文句言わねぇよ!真面目だし頭良いし、何より強いし…」
「それはあり得ないって」
そう言うとエークは、まだ半分も食べていない朝食のトレイを持ち、立ち上がった。
「…俺は元々、戦場の民じゃないだろ。戦場の民の中から一人なら、民ではない俺は対象外だ」
「あっ…そうだったな…悪リィ、忘れてた」
さっきまでの勢いを無くすと、男は恥ずかしそうに頬を掻いた。
「じゃあ俺、説教受けてくるから。また後で」
エークは男と別れると、食堂の受付口へと向かった。