王国ファンタジア【戦場の民】

「お前も知っているだろう?エークは元々、戦場の民の血を引かない者。本来ならば選ぶ対象ですらない。
それに、お前を選んだ理由もちゃんとある」

「理由?」

キルテは表情を変えずに、族長に問う。

「――…一つ目はその強さと能力だ。我々、戦場の民は古来より戦陣を組み、戦いに挑んできた。

戦陣を組むのは、より戦力を高め、高い戦力を用いて戦いに勝つためだ。
しかし、そんなことをしなくても勝てるほどの強さと実力をお前は持っている。

集団で戦うことに慣れている我々には、一人や二人で敵地に向かうのはもう不可能に近い」


そして族長は間を入れずに二つ目の理由を上げる。

「二つ目は…お前のその髪色だ。
その髪色は、今は失われたはずの一族の証の色。しかも初代族長と同じ、一筋の紅い髪も混じっている。
それは恐らく、他の者より一族の血が濃いと言うことなのだろう。
一族の代表の者を選ぶのだから、やはり強いだけではいけないと――」


――バンッ!!



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