王国ファンタジア【戦場の民】
 族長の話を遮り中断させたのは扉を蹴破った大きな音。

そんな失礼極まりない事をしたのは、当然キルテだった。


「…付き合ってられるかよ」


キルテは最後にまた族長を睨むと、部屋から出ていく。

「おい!!」
「構うな」

 族長は、食って掛かろうとした男を止めると、もう戻っていいと男に席を外させた。



「…やっぱり髪について触れると怒るんだなぁキルテは」

「当たり前ですよ」

族長の呟きにエークが言う。

「キルテはあの髪色のせいで、親に気味悪がられて捨てられているのですよ。その事にわざわざ触れて、貴方は何がしたいんです?」

静かに話すエークだが、その言葉には怒りが込もっているのが解る。


「待て待て、そう怒るな。しかし、あの言葉に偽りはない。
あの子が初代族長に似ているのは事実だし、私は考えを変えるつもりはない」

 そこまで言うと、族長はさっきまでの焦った表情とは一変し、ニィッと笑うと

「…それに少しばかり意地悪をしたくなっただけさ」

と呟いた。

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