王国ファンタジア【戦場の民】
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――…王国からの手紙の事で始まった一日も、残り数時間となった夜。

どこから広まったのか、宿舎は、どうやら王国へ発つのはキルテらしいとの噂で持ちきりになっていた。


「キル、入るぞ」

 いつもの様に、キルテの部屋に入ってきたエークの手には二人分の食事。
それを見て、キルテはエークに訊く。

「…今日は向こうで食べて来なかったのか?」

「向こうじゃ落ち着いて食べれそうにないからな…まあ、たまには二人で食べるのもいいかと思って」

「……ふん」


 その後、食事中は会話が行われることはなく、暫く部屋には食器の音しかしなかった。
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