王国ファンタジア【戦場の民】
《!!?》
男たちは理解が追いつかなかった。
一瞬の事だったのに、一時の事に感じた。
さっきまで武器など持っていなかったはずの子供の手には、何処から出てきたのだろう血の色をした大鎌が、そしてその少年が言葉を呟いたその瞬間に、自分達はこうして風におされて浮いている。
…何が起こったのか。
一時が一瞬に戻る。
キルテが巻き起こした風は、自分に襲いかかってきた男たちを吹き飛ばし、木々や地面に叩きつけた。
頭を打ち付けたせいで、気絶した男たち。森は元通り静かになった。
「今度なんか言ったら絶対に潰す」
言葉を吐き捨てたキルテ。
「16歳はまだ子供だろ」
キルテの背後から、コートの砂ぼこりを叩きつつエークが言った。
「あ」
つい発動してしまった技だったが、確かにエークは近くに居た。
もしかしたらエークも吹き飛ばしてしまったのかと、キルテの表情が曇る。
「ありがとう。別に怪我なんてしてないから、心配いらないよ」
その表情を見て、エークが笑顔で言った。
「Σべッ、別に心配なんかしてねぇよ!!勘違いすんな!!」
キルテは顔をエークからふぃっと背ける。