王国ファンタジア【戦場の民】
宿屋にて
――…森の盗賊襲撃事件から一夜明けた朝。
キルテたちは今、ちょうど民の宿舎と王国の間にある、ちいさな町の宿に泊まっていた。
「………」
朝日が昇って随分経っても、相変わらずベッドで寝ているキルテ。
その一室に、ゆっくりと扉を開けて忍び込む二つの小さな影。
影はキルテが寝ているベッドに近付くとニヤッと笑い、そして―――
「「おっはよーございまーす!!!」」
「おわッ!!」
影の正体、元気な声の主は、そっくりな二人の小さな少女。
「なんなんだよ!てめーら!!」
元気過ぎる声に飛び起きたキルテは、壁に背中をぴったりと付けて驚きの表情をしている。
「ほらセツカ!私の睨んだ通り、この人銀髪だったよ!!」
「ほんとだね!セツナ!宿に入るときはフード被ってて判らなかったけど、完璧に銀髪だね!!」
キルテの質問など、まるで聞こえていないかの様に二人で話している少女たちは、話終えると、くるっとキルテの方に向きなおし、またニヤッと笑う。
「!?」
視線を向けられたキルテはゾッとする。何だか嫌な予感がした。
「「遊ぼー!!」」
「Σうわぁぁぁ!!」