王国ファンタジア【戦場の民】

「キルテは二人みたいに上手く描けないから、きっとうらやましく思ったんだよ」

「はぁ?!」


 キルテは一度は噛み付いたものの、このまま反論するのも馬鹿馬鹿しくなって、そっぽを向いた。


「――…あっ、そうだキルテ。宿の奥さんが手伝いのお礼にお弁当作ってくれるって。一段落したら出発しようか」

「誰のせいで出発が遅れてるのかわかってんのか?」

「あと宿代もいいって。手伝いして、むしろ得したな」

 スルーかよ?!と思ってみても、やっぱり声に出さないキルテ。引き続き、そっぽを向く事にした。


「「もう行っちゃうの?」」

 少女たちは寂しそうな声で言う。

「うん、急がなきゃいけないんだ」

 少女たちの目線に合わせるために、エークはしゃがんでから答えた。

「どこいくの?」

「…ここから遠くない所だね」

「まさか王国に行っちゃうの?」

 心配かけまいと遠回しに言ったのに、あっさりとバレてしまった。何故そう思ったのか尋ねると、少女たちは王国から逃げてきた人たちの話を聴いたと言った。

「「…お兄ちゃんたち、ドラゴン退治に行くんだよね…?」」

 下を向いて少女たちは言う。
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