王国ファンタジア【戦場の民】
「大丈夫。俺たち、こう見えても結構強いんだ。ドラゴンなんかすぐにやっつけるよ」
口元だけで笑うと、エークは少女たちの頭を優しく撫でた。すると少女たちは顔をあげる。
「「ほんとう?」」
「うん本当。そんな事より、二人にお礼がしたいんだ。良かったらその紙とクレヨン、俺に貸してくれないか?」
エークは二人から紙とクレヨンを受け取ると、紙に何か文字を書き、文字を書いた面を内側にして四つに折った。
「二人とも、手を出して」
少女たちは言われる通り両手を差し出す。二人仲良く手をくっつけて。
エークはそれを見てまた笑みを浮かべると、紙を折り目を上にして、少女たちの指先にポンッと軽く当てた。
――そうすると、綺麗な水晶でできた花の髪飾りが二つ、紙から少女たちの手のひらに落ちる。
「「えっ?!」」
少女たちは目の前の信じられない光景に驚きながらに喜ぶ。だって、何もないはずの紙の中から、こんな素敵な物が出てきたのだから。
「キルテと遊んでくれたお礼。受け取ってくれる?」
「「あっ!ありがとう!!」」
少女たちの表情は、さっきと一変し、ぱぁぁっと明るくなった。