王国ファンタジア【戦場の民】
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「…まだ居るし……」

「当たり前だ」


 キルテは着替えを済ませ、黒みをおびた紺色のコートに身を包むと部屋から出てきた。
ちなみにこのコートは、組織の者に支給される制服の様なもので、この場に居るエークも、もちろん着用している。


「にしても、随分遅かったな。集会、もう始まってる時間だぞ」

「…………先に行くかと思って…」

「それじゃあ、迎えに来た意味が無いじゃないか。そんな事より髪、絡まってるぞ?結び直そうか?」

「余計なお世話だ」

 そう言葉を交わすと、二人は特に急ぐわけでもなく宿舎のホールに向かって歩き出す。


「…なぁ、急がなくていいのか…?」

少し経ち、歩きながらキルテが呟くように訊いた。
するとキルテの質問にエークはこう答える。

「別にいいんじゃないか?今から走ったって、あまり意味が無いだろうし」

「…その集会って本当に行く必要あるのかよ」

 エークの呆気ない返答にキルテは軽くため息をついた。
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