my catty girl~もし私がネコになっても~
赤いリボン
―高校2年の冬
雪こそ降ってはいないけれど、短い髪を揺らし入る風もすっかり冷たくなった。
今日で2学期も終わりのクリスマスイヴ―。
私、仁科春乃―にしな はるの―の胸は長谷川学―はせがわ まなぶ―のことでいっぱいだった。
今日、1度帰宅して着替えを済ませてから、夜に待ち合わせする事になっている。
彼とは友達以上恋人未満の仲で、クリスマスは彼の方から誘ってきた。驚いたけれど、そうだよねって思う自分もいた。
終業式も終わり、教室に戻った。
「あっ、春乃!」
私を名前を呼ぶ、柔らかくて明るい学の声。彼の祖父はフランス人で、彼もどことなくその面影を持っている。
金髪なのは元からではなく、後から染めたものだったけれど、元々の髪色も少し明るい。
同じクラスでもちろん同い年だけど、どことなく幼い顔をしていて、もしかしたらクラスの女子よりも可愛い…かも。
その天真爛漫さが、彼の幼げなところをより強く印象づけている。
ハーフのコは実年齢より大人っぽく見えるって思っていたけど、そうとも限らないんだなぁ…って、学と知り合ってから思った。
「…春乃?」
教室の机で帰る準備をしていた私の顔を、彼が下から覗き込んできた。