my catty girl~もし私がネコになっても~
酷く絶望的な気分…
…そういえば
学の絵…
そうだ
入賞したって昨日、言ってた…
どこにあるんだろう
見つからなかったとは言ってなかったような気が…するけど…
ふとタンスの方に目をやった。
あれかな…?
壁とタンスの間の僅かな隙間に何か立て掛けてある。
近寄って引っ張りだすと、それはバタンっと音を立てて倒れた。
だ…大丈夫だよね?
多分もし何かあってもネコの仕業という事で片付けられるけど。。
…これは学がいつも絵を入れる為に持ち歩いてる、大きな黒いケースだ。
ドキドキしながら開けてみた。ケースをずらすように持ち上げると、学の描く、淡くやさしい色彩が目に入った。
これ…
そこに描かれているのは、枝が地面近くまでおりてきている満開の桜の木。
そしてその太い枝に腰をおろした少女が楽器を吹いている。
この楽器…フルート…じゃあこの女の子は…私?
嘘…
私には見覚えがあった。
今年の春、確か4月の上旬…こんな満開の桜の中で、舞い散る桜の中でフルートを吹いたら、きっと気持ちいいだろうなと思って、1人でいつもの公園に行った。
奥の方まで行くと芝生の広場があって、そこにこの桜の木を見つけて
春の日だまり中で、私はフルートの練習をしていた。
それを学は偶然見かけたのだろうか―。
春乃はドアのポストから無理矢理に外へ出た。
昨日の言葉から推測するに、学は多分駅の方とか…人の集まりそうな所だ。
春乃は駆け出した。