my catty girl~もし私がネコになっても~
…見つけた。
病み上がりで息切れがする。
学と麻美は、家からそう遠くない路地にいた。
「ねぇ、見よう?一緒に」
「…ごめん、さっきも話したけど用事があるから」
「そんなに夜遅くまでかかるの?私なら別に待つよ?せっかくのクリスマスなんだし…」
「ごめん…待ってるコがいるんだ」
「仁科先輩ですか?」
麻美の表情が急にかたくなった。意識的にかどうかはわからないけど、語尾が一瞬、丁寧になった。
「学は仁科先輩が好きなの?」
「どうして…」
「会ったの、昨日、学校の帰りに。学と出かけるってはしゃいでた」
「…」
「私、悔しくて…」
「…なにか、言ったんだね」
顔が強ばる
「春乃に何を言った?…あいつ、会った時から元気なくて途中で帰っちゃったんだよ。…それに多分…泣いてた…見間違いじゃ…ないと…思う…」
「…」
「あのさ、知念さん」
「っ…知念さんなんて呼ばないで…っ!やめてよ!!」
麻美が急に声を荒げた。
「どうして!?何で仁科先輩のことは春乃って下の名前で呼ぶのに、私のことは…。まるで…距離とってるみたいだよ…っ」
「…あいつは……春乃って呼んでも、いつも俺のことは長谷川くんって呼ぶんだ」
学とは呼んでくれない
かなしいね
呼び名ひとつで出来る距離の大きさ―。
「俺はあいつに、学って呼んで欲しいんだ。」
「それって…じゃあ…」
「……ごめん…な」
振り返るとハルノの姿が見えた。