my catty girl~もし私がネコになっても~
「あっ、ごめん!」

「どしたの?」

「うん、ちょっとね。…今日…何着てこうかな~って」

「そっかぁ、楽しみだな。春乃はもう帰るところ?」

「うん、もう忘れ物ない…し。長谷川くんは?」

「ん、俺ちょっと持って帰る絵が見つからなくて、これから探さなきゃいけないんだよね」

「あぁ、絵って部活で描いた風景画のこと?」

「んー…いや、…実は密かに入賞したのがあって」

「えっ!?」

「言ってなくてごめんね。…なんか恥ずかしくてさ。今夜うちに来た時に見てよ。」

「ふ~ん、そっかぁ…うんっ、見せてね!それから私の吹奏楽コンクールのDVDも観てね」

「もちろん観させてもらうよっ。…そういえば今日は頭のリボンは?いつも着けてるのに」

「あ…うん、今朝着ける時に汚れ見つけて…取れないみたいだったから」

「そっ…か。お気に入りだったのに残念だなぁ」

小さく頷き、じゃあ6時にいつもの公園でね、笑顔でそう言うと彼は廊下の方に出て行った。

いつもの公園というのは彼の家の近くにある広い公園のことで、いつも2人で歩くメインの並木道には今日と明日、特別にクリスマスのイルミネーションが飾られる。

今夜その道を彼と2人で歩くんだ…。


想像しただけであたたかい気分になった。

彼との冬を迎えるのは初めて。出会ったのは…高校2年になってから。

きっかけもただ席が近くて、話すようになっていったっていう有りふれたものだったし、気付いたらどんどん仲良くなっていってたなぁ…


そんな風に思い返しながら少し笑い、席を立った。
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