my catty girl~もし私がネコになっても~
「は…る…?」
「え…?」
あ、声が…出る!
手のひらを見ると、それは元のかたち…人と同じ…手のかたち…
「春乃…なんで…」
「な、なんでだろ」
「…お願いしたからだ」
「え?」
「春乃が…戻ってきてくれますように…って…」
涙が溢れてくるのは当然のこと
「こんな…早くに…叶う…なんて…」
「っ…ばかっ!昨日あんな薄着で…ネルシャツなんかで来るから熱出すんだよ…っ」
「…そうだな」
…っ
「戻ってきてくれて…ありがとう…春乃…」
私は泣きながら、薬を探したり、水枕を取り換えたり、学の看病をした。
人と人として出会えて、人と人として接することができる―。
それが、こんなに嬉しいなんて知らなかった。
それは決して「当然」なんかじゃなかった。
こうやってネコにならなかったら一生、気付くことも無かったかもしれない。