アタシの弟。



「でも、オレ優しいからさ。
今日は勘弁してあげる」

「マジで!?」

「…その代わり。
来年の夏休みの夏祭り、全部雅のおごり」

「えぇ!?
それのがキツ………」

「はい、決定。
来年の夏祭り、よろしくー」



…前言撤回。


コイツは悪魔だ。


最悪だ。


夏祭りのがお金使うじゃん…。



「…彼女でも作って、一緒に行けばいいじゃん」

「んじゃ、雅オレの彼女になってよ」



なぬぅぅぅ!?


今なんと…!?



「…なに言ってんの?」

「だよな~。
雅は芹沢が好きなわけだし」

「なんであたしが陸を………」

「隠さなくても知ってる。
何年一緒にいると思ってんの?
雅の気持ちなんか、こっちに筒抜けだって」



…なんで………?


なんで…、そんなこと言うの?


あたしが好きなのは陸じゃないのに………



「…違う………
あたしの好きな人は陸じゃないよ。
陸よりもっと近くて…、届きそうなのに届かない………
あたしは好きになっちゃいけない人を、好きになった…」



自分で言って、涙が出そうになった。



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