アタシの弟。



これで間に合う♪


良かったーっ!



「瑠唯っ、ありがとねっ!」



あたしはバタバタ瑠唯の背中を叩いた。



「わかったから、おとなしくしろ!
ちゃんと掴まっとけ」

「…ひゃっ!」

「…何変な声出してんだよ?」

「………なんでもない…」



…だって、瑠唯がいきなり手引っ張ったりするから………


なんて、言えないもんね。


あたしたち、姉弟だよ?


あたしはお姉ちゃんで、瑠唯は弟。


…たとえ、血が繋がってなくてもね。


あたしたちは、12年前に姉弟になった。


あたしはお父さんの連れ子で、瑠唯はお母さんの連れ子。


たまたま同い年で、誕生日が1日違い。


だから、あたしが1日だけお姉ちゃんなんだ。


…とはいえ………


都合のいい時だけ、“お姉ちゃん”。


あとは、“1日だけ”だし。


たぶん、瑠唯は気づいてないけど…


あたしはずっと、瑠唯が好き。


初めて会った時から、ずっと。


もう12年、ずっと想ってる。


………だけど、姉弟の壁はかなり厚い。


同じクラスで、出席番号もひとつ違い。



< 5 / 108 >

この作品をシェア

pagetop