シルバーブラッド 眠らぬ夜に
留守電消去のボタンを押して、タバコの灰を灰皿に落とした。

さっきまでは、あまりに疲れていたので、外食する気も、自分で何か作って食べる気も、沸いて来なかった。

このまま何も食べずに眠ってしまおうかと思っていた。

が、まどろみから一旦目覚めさせられると、急に気が変わった。

腹が減った。

タバコをくわえたまま、コートを拾い上げて着、ポケットに財布をねじ込んだ。

外に出ると、空気はさっき帰ってきたときよりもさらに少し冷えていた。

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