シルバーブラッド 眠らぬ夜に
スニーカーに履き替えた足は、音を立てずにアスファルトに吸い付いて、この静けさを邪魔しなかった。

だから、誰かが浩之の後方でたてた、微かな足音がしっかり耳に届いた。

急いでいるのか早足だ。

気のせいだろうか、意識的に音を忍ばせているように感じる。

それが不自然に思えて、つい、振り返った。

闇に溶けるような黒い人影が、すぐそばまで迫って来て立ち止まった。

えっ?

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