シルバーブラッド 眠らぬ夜に
慣れた道をしばらく走った後、突然、目の前に現れた道を曲がってみた。
 
普段は行かないけれど、記憶にある道だった。

この先に父親が、仕事のために借りていた山がある。

そこに昔、山小屋があった。

それを急に思い出したのだ。

子供の頃に、何度も来た事がある道を、記憶を頼りに辿ってみることにした。

まだ、あの山小屋があるかもしれない。 
 
もしかすると英樹も、そこに十年間隠れていたのかもしれない。
 
そう思うと、アクセルを踏む足から、一瞬力が緩んだ。
 
『あいつが、いる?』
 
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