シルバーブラッド 眠らぬ夜に
生涯を終えても、二度と会いたくない。

『消えてなくなってくれたらいいのに

・・・消える、か。


浩之は、ポケットの中の硫酸の存在を思い出した。
 
護身するものは、ある。
 
アクセルに、再び力を込めた。
 
いくつかの目印を頼りに、道を曲がり、山道に入った。
 
これからはほとんど一本道のはずだった。
 
対向車もなく、狭い山道をスムーズに上がっていくことができた。
 
ただ、街の明かりがほとんど届かないせいで、周囲は真っ暗だ。
 
ライトで照らしていても、すぐ前の景色しか見えない。

もしその先で、急に断崖絶壁が口をあけていても、分かずに飲み込まれてしまうかもしれないほどだ。
 
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