シルバーブラッド 眠らぬ夜に
カーブを幾つも折れ、緩やかな傾斜を登って行った。
 
途中一度、曲がりきれない所があって、車をバックさせ切りかえした。
 
その辺りから坂道は急になった。

ずっと、道の脇の視界を塞ぐほどに雑木林や竹林が茂っていた。

なのに、急に少し街の明かりが漏れ出るほど、手入れされたところに出た。
 
雑木がなく、杉だけが真っ直ぐに闇に向かって伸びている。

ここだ。

浩之は車を脇に止めた。

暖房に馴らされていた体で、冷たい空気の中に放り出される。

息が白い。

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