シルバーブラッド 眠らぬ夜に
もろそうな木材で建てられていて、ドアを開けたら、そのショックで家が崩れ落ちそうだ。
 
それでも浩之は懐かしい思いにとらわれた。
 
ここに来るのは好きだった。

たいてい、子供のどちらか一人しか、父は連れてこなかったから。
 
入り口があった付近へ、記憶を頼りに近づいてみる。

くもったガラスのはまった障子のような引き戸があったはずだ。
 
あった。

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