シルバーブラッド 眠らぬ夜に
と、この扉を開けるために必要な力の込め具合を、体が思い出した。

体重をかけて引き開けようとする。

意外すぎるほどあっさりとそれは動いた。

驚いて、慌てて力を抜く。

この扉を開けるコツは覚えていたけれど、自分自身の力が強くなっていたことを計算に
入れるのを忘れていた。 
 
結局、乱暴に扉を開けたかたちになった。

突然乱入した新鮮な空気に、ホコリが舞い上がった。
 
中に足を踏み入れたとたん、肺に吸い込んだホコリにむせる。
 
手で口を押さえながら、仕切りのない、一つだけの部屋に入り込んだ。
 
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