シルバーブラッド 眠らぬ夜に
明かりをつけようとして、スイッチのあったはずのところへ指を這わしてみた。

記憶通りそこにはスイッチがあったが、押しても天井の裸電球は反応しなかった。

仕方なく、月明かりに頼ることにして、窓を開けた。
 
薄っぺらなガラスが何枚もはめ込まれた窓だ。

そのガラスは白っぽいものだったので光を通しにくかったようだ。

開けると、夜にしては眩しいほどの光が斜めに入り込んできた。

部屋の奥の右手に、壁に沿って木の棚があるのが見えた。

その隣の壁の中央部分には、暖炉があって、左手には薪が積まれてあった。

浩之は棚に目をやった。

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