シルバーブラッド 眠らぬ夜に
昔ここで使っていた湯飲みやカセットコンロ等が、以前のまま乱雑に置かれてある。
 
懐かしく眺めていると、お菓子まであるのが見えた。
 
ポケットからマッチ箱を引っ張り出した。

それを右手に持って、浩之は左手で器用に火をつけた。

浩之は右利きだったが、皮肉なことに、英樹のお陰で左手も器用になっていたのだ。

一度、英樹に右手の小指を折られたことがあったから。


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