シルバーブラッド 眠らぬ夜に
何かのせいで偶然にそうなったのではない。

初めから小指を折るつもりで折られた。

英樹は、浩之が怖がり、痛がるさまを露骨に楽しんでいた。

浩之は、リアルに思い出しそうになるそのシーンを、心の底にねじ込んだ。

『今は今だ。

昔じゃない。

終わった恐怖を反芻しても、意味がない』

小さくともった火に意識を集中した。

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