シルバーブラッド 眠らぬ夜に
それから、火に照らされた周囲に目を向けた。

絵を描きかけて放り出している、落書き帳があった。

クレヨンもある。

その横には、浩之が好きだったお菓子の箱が、未開封のまま置かれてあった。
 
中身の味は覚えてないけど、ネーミングと、箱のデザインが好きだったのだ。
 
今見てもやっぱりツボにはまるパッケージデザインだった。
 
ゆっくりと短くなってゆくマッチの先で、明かりはその隣にあるものも照らし出した。
 
ビー玉の入ったコップ。
 
浩之は、無心で手を伸ばしてそれを取った。

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