シルバーブラッド 眠らぬ夜に
体を起こす間もなく、背中を、腹を、蹴りつけられた。
 
痛みが、これでもかと、体を襲う。
 
浩之は逃げるように床の上を這って後ずさりし、黒ずくめで短髪の男を見た。
 
唇を、笑いに歪めている。

この状況を、め一杯楽しんでいる様子だ。
 
もうしばらくいたぶるつもりだろう。

そういうのが彼の好みだということは直感的に分かった。

浩之は、怯えた、引き攣るような呼吸をしながら、

「やめて」
 
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