シルバーブラッド 眠らぬ夜に
言って、真っ直ぐに彼を見た。

怯えた声を出している自分から、ここにいる、本物の自分が離れていくのを感じた。

痛めつけられたせいで、冷めた自分が現れたのだ。

おかげで、ポケットの中の固い感触に気が付いた。

次には落ち着き払った声が、唇から漏れた。

「じゃないとただじゃおかない」

浩之は一瞬の後、ポケットから引っ張り出した三本の褐色小瓶を男に投げつけた。


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