シルバーブラッド 眠らぬ夜に
拳に自分の体重を預けるようにして、力一杯殴りつける。
 
両手で、交互に。
 
何とも言えない感覚が、自分の中で高揚していくのが分かる。
 
『多分、これって、狂気だ』

それを、冷静に見て楽しんでいる自分もいる。
 
と、男の鼻から血が流れ始めた。

その、突然表われた、色合いに、狂気がさめた。
 
浩之は、手を止めた。
 
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