シルバーブラッド 眠らぬ夜に
その鈍い痛みのほかに、右手が鋭く痛んでいた。

見ると、絆創膏から、血が滲んでいた。

桐田さんに、あんまり痛そうに見られるので、包帯から、変えておいたのだ。

血も止まってたのに。

さっきは、夢中で、この傷のことなんか忘れていた。

迂闊だった。

傷口が開いてしまった。

呼吸をととのえながら、ぼんやりと、広がっていく血のしみを眺めていた。


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