シルバーブラッド 眠らぬ夜に
そうだ。

壁に背中を押し付けているんだった。

あごの下の冷たいものはすぐに体温になじんで、今度はその硬い感触を伝えてきた。

「下手に動くと、こいつがあんたの首を切り裂くぞ。

その気になれば、骨まで切り落とせる代物だ。」

 体のデカさに見合った低い声でいうと、男はくっくっと笑った。

楽しくてたまらないのを、押し殺しているようだ。

 浩之は冷静に、肌に触れている異物の感触に意識を集中してみた。

刃先がギザギザと触れている感じがする。
 
ナイフか。

それもサバイバルナイフ。

 さすがに声も出なかった。


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