シルバーブラッド 眠らぬ夜に
ふとそう思った。

だって、彼女が接触してきたタイミング。

それに、この、獲物がかかった快感に、酔いしれるような、表情。

「もしかして」

浩之は、ゆっくりと言葉を吐き出した。

「あのメッセージも、襲ってきたやつらも、全部?」

全部、彼女の仕組んだことだったのだ。

ほとんど核心的に、そう思った。

 彼女は笑みに歪ませた口を、ゆっくりと、開いた。

「そうよ」

現実的なイメージの柴崎さんとのギャップに、めまいがした。

「でも、どうして?」

「あなたが英樹にしたことを、反省してないからよ」

英樹にしたこと?

英樹にされたこと、じゃなくて?


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