シルバーブラッド 眠らぬ夜に
違うのは、あの時、自分の精神を守る為に、自分自身が意識の底の底に何かを封印したらしいのに、今は、逆にそれを、甦らせたということだった。
 
浩之は、柴崎さんを見た。
 
記憶の封印は、解け始めると、過去の記憶を鮮明に頭の中でリプレイし始めた。
 
あのとき、浩之は、目の前にあったビニールテープの結び目を、口で引っ張って解いたのだ。
 
浩之を柱にくくりつけて、火をつけるものを探しに行った英樹。

彼は、途中目的を忘れたのか何なのか、庭の一角にうずくまるように、いた。
 
庭の隅には、手のひらより大きな青石が山のように積み上げられていた。

父親が庭に敷き詰めるために拾って溜め込んでおいたものだ。

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