シルバーブラッド 眠らぬ夜に
そこにしゃがみこんだ英樹は、次々と石を手にしては、重みを調べて、違う石に持ち替えていた。
 
英樹は、火をつけることを忘れたわけじゃなかったのだ。

火をつける代わりに、この石で浩之を殴りつけることにしただけなのだ。 
 
そう思い当たると、浩之の中に激しい憎しみが沸き起こった。

何で、英樹はここまでオレのことをいじめるんだ?
 
頭の中が、怒りと憎しみで真っ白になっていた。
 
浩之は音もさせずに石を手に取ると、英樹の頭めがけて振り下ろした。
 
殺気に気付いたのか、英樹は、ハッとした顔で浩之を見上げた。

その顔から、鮮血が飛び散った。
< 180 / 241 >

この作品をシェア

pagetop