シルバーブラッド 眠らぬ夜に
我に帰ったとき、浩之は自殺しようとした。

いくら憎い相手といえども、殺人の罪に変わりはない。

その、罪の意識に耐えかねたのだ。

朦朧としたままカッターを握り締め、風呂場で手を切った。

どこをどう切ればいいとか、確実な傷を付けられる刃物を探すとか、そんな冷静さすらなかった。

ただただ、どこかを傷付けて、自分の中から血を流し出したかった。

それなのに、浅く切っただけで、その痛みにひるんでしまった。

痛みの割りにじんわりとしか流れない血を、じっと眺めていた。

もっと、深く切らなきゃ。

もっと、血をださなきゃあ。


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