シルバーブラッド 眠らぬ夜に
血は、どのくらい体から流れ出たら、死ぬんだろうか。

そんなことを考えていた。

ほかの事は全く目に入らなかった。

風呂場の扉が全開なのも、わからなかった。

そのせいで、ちょうど買い物から帰ってきて浩之に声をかけに来た母上が、その光景を見てしまったのだ。

お陰でそれは、未遂のうちに終わった。

そのままだったら、同じことを何度も繰り返していたかもしれない。

けれど、浩之の精神は、死ぬことを選ぶ代わりに、自分のしたことを記憶の奥底に封印したのだ。
 
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